ボラティリティの高さを、投資商品内部のリバランスでキャピタルゲインに変換してくれる投信商品について

長期的には、インフレ傾向/円安傾向が続き、円を現金で持っていると時間の経過とともに価値が目減りする、と読んでいる方で、

でも最近、株価の上値が重くて、なかなかスムーズにキャピタルゲインをとれない。でもボラティリティだけは、やたらと高い、と、やきもきされている方、少なからずいらっしゃるんじゃないか、と思います。

そんな局面では、単にインデックス投信をガチホールドしているだけだと、価値もさほどあがっていかないしちょっと物足りない、と思うかもしれませんが(私も、そう思ってしまう人間の一人です)、そういう方の感覚にマッチするような投信商品、こんなのもありますよ、とご紹介したいと思います。


いずれもアクティブファンドになりますが、
(1)Tracers S&P500ゴールドプラス
(2)ドイチェETFバランス・ファンド(愛称:プラチナコア)


この2つです。


ざっくり言うと、
(1)は、株式(米国のS&P500)とゴールドに半分ずつ、
(2)は、先進国株式と先進国債券に半分ずつ、

というものです。


攻めの資産クラスである株式と、守りの資産クラスである債券/ゴールドと、それぞれに半分ずつ、の何がよいか、というと、
「いずれか一方が値上がり、あるいは値下がりしたときに、投信商品の内部でリバランスしてくれるので、単に株価がいったんあがって元に戻る、とか、株価がいったん下がって元に戻る、というような、中期トレンドがほぼ横ばいであっても、ボラティリティが高ければ高いほど、リバランスによってキャピタルゲインをとれる」
という原理が常に働くんですね。


簡単に思考実験してみましょう。
株を100万円、現金(債券やゴールドでもよい)を100万円持っている、としましょう。

ここから、株価が半分になったら、
株が 50万円、現金が100万円。

リバランスをしたら、
株が75万円、現金が75万円。

ここから、株価が元に戻ったら(リバランスをした時点から2倍)、
株が150万円、現金が75万円。


ほら、最初に持っていた200万円から、225万円に増えているでしょう?


逆パターンの思考実験もやってみましょう。
株を100万円、現金(債券やゴールドでもよい)を100万円持っている、としましょう。

ここから、株価が2倍になったら、
株が 200万円、現金が100万円。

リバランスをしたら、
株が150万円、現金が150万円。

ここから、株価が元に戻ったら(リバランスをした時点から半減)、
株が75万円、現金が150万円。

ほら、ここでも、最初に持っていた200万円から、225万円に増えているでしょう?


しかも、投信商品の内部でリバランスをしている、ということは、商品の購入者は利益確定をしていないので、そこで税金を約20%とられたりしない、ということなんです。


一点、注意点として、(1)の「S&P500ゴールドプラス」は、レバレッジが2倍かかっています。
仮にこの商品を100万円分買ったとしたら、株を100万円分買ったときの価値の増減と、ゴールドを100万円分買ったときの価値の増減が、合算した形(平均、ではなく)で、投信商品の基準価額の増減として出てきますんで、株もゴールドも同時に大きく値下がりをしてしまった、というようなときの負け方は大き目に出てしまいます。
これがちょっと引っかかる、というような方は、例えばですが、「S&P500ゴールドプラス」を100万円買いつつ、それとは別に「先進国債券インデックス」を100万円買う、みたいに、意図的にレバレッジが2倍かかっている効果を薄めるような買い方も、まあ、できるわけです(このあたり、工夫のしようはけっこうあります)。

 

いわゆるバランス型、と銘打たれている投信商品は、探せばけっこう見つかりますが、ここでご紹介した2つは、攻め(株式)と守り(債券/ゴールド)が半分ずつ、という点が、感覚的にも非常にわかりやすい商品かな、と思います。


攻め(株式)の資産クラスの世界一本で勝負したいんですが、その中でもリバランスによるキャピタルゲインをとりたい、というような方には、

(3)eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)

なんていうのも、実はけっこう良いかもしれません。

eMAXISシリーズの中では、あまり注目度が高くない商品ですが、信託報酬が激安で、しかもリバランス効果を内包している、という意味では、株価横ばい傾向のある時期に買う面白さがある商品、と思っております。


私は、本記事執筆時点で、(1)と(3)は適宜買い増しを入れながらホールド中。(2)は、かつて一度買って全額利確したことがありますが、またあらためて買い注文を入れているところ、です。


ではでは。