暴落対策シリーズ#002: 暴落前後で、投資強者はどんなことをしているのか。
株価が暴落して、1,000万円だった資産が400万円になってしまったら、平然としていられる人と、大ショックを受ける人がいて、後者は暴落に対してどのようにしたらいいのか、という話です。
平然としていられる人(=精神的強者)は、「Just Keep Buying」です。暴落の後でも、それまでと全く変わらず、毎月決まった額を淡々と積み立て続ける。
この方法を貫き通せるのであれば、15年間ぐらいそれを続けられたら、長期的には株価が伸びて持ち直し、暴落の損も取り返してトータルでプラスになる、と言われています。
平然としていられない人(=精神的強さの面で凡人)は、いったん、残された 400万円という数字を見つめて、何か人生で大失敗をしてしまった、と思い、投信の積み立て設定を解除してしまうかもしれません。自分は投資に向いていないんだ、と思って、価値が下がった後の 400万円の資産を売ってしまい、数百万円を負け越した、という結果を確定させて、それ以降資産形成をやめてしまうかもしれません。
「精神的強さの面で凡人」は、暴落が起こり得る前提で、どのように資産形成と向き合っていけばよいのでしょうか。
いったん、ひたすら定額を積み立てていく系のスタイル(ドルコスト平均法で取得価格を平準化し、長期投資によって時間のもたらす複利的効果で資産を増やして勝とうとするタイプ)ではなく、
安く買って高く買う、を地で行くスタイルの個人投資家(以下、投資強者、と呼びます)は、どんなことをしているか、を考えてみましょう。
投資強者は、暴落局面がせまっていることを認識したら、ポートフォリオを組み替えて、「暴落待ち」でやることが何もない、という状況を作り上げます。
なぜ暴落という悲しい現象が起こるのを待つか、というと、資産の中で株の比率を下げて現金比率を高めた状態で暴落が来たら、そこで株を一気に買い増せば、そこから長い時間をかけて経済が落ち着きを取り戻し、再び成長してもとの株価に戻る頃には、暴落後に買った株価の価値が大幅にあがっているから、です。
この考え方をとる人にとっては、暴落は、悲しい出来事ではなく、株を安く大量に仕込める大バーゲンセールだ、ということです。
暴落待ちのポートフォリオっていうのは、例えば、米国株が暴落する、と読んだ場合を例に挙げると、
・株式の中で、米国株の比率を低め、新興国株の比率を高める。
・資産全体の中で、株式の割合を低め、債券と現金と「コモディティ」の割合を高める。
っていうようなことです。
コモディティの代表例が、金(ゴールド)ですが、他にも、
原油、天然ガス、小麦、トウモロコシ、大豆、コーヒー、砂糖、綿、銀、アルミニウム、豚赤身肉、生牛、
などなど、これらの商品全般を、コモディティ、と言っています。
一般の小口の個人投資家は、これら一つ一つを然るべき市場で買ったり売ったりは、なかなかしきいが高いですが、
「eMAXISプラス コモディティインデックス」
とか
「三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」
とか、そういった投資信託の形で買うことが可能です。
債券は、いざとなったら現金に変えて、大バーゲンセール状態の株を仕込みにいくために持つわけですし、だいたい株が暴落するときには、景気の悪化(リセッション)と、その国の金利の利下げ、が、どこかしらのタイミングで来るので、利下げ=債券価格は上がる、を見込んだ短期~中期の投資を兼ねます。
コモディティは、概ね、米国株の価値と真逆の動きをするので、米国株が下がった暁には、コモディティの価格はあがって儲かる(であろう)、という考え方です。
そのうち、金(ゴールド)は、かなり早い段階で価格があがってしまうので(たぶん、投資強者が暴落待ちポートフォリオに組み替えている時期に、すでにあがってしまう)、それよりも動き出しが遅くなってしまう一般の小口の投資家にとっては、コモディティインデックス投信あたりが、ちょうどよいかもしれません。
ここで出てきた、「暴落待ちのポートフォリオ」っていう考え方の中に、おそらく、「精神的強さの面で凡人」は、暴落が起こり得る前提で、どうしたらいいのか、のヒントがふんだんに含まれているのでは、と思っています。
ここでは、「暴落がもうすぐ来るぞ」というのが、ある程度わかる前提で、その後のアクションについて書いてみましたが、どういう情報から、暴落がもうすぐ来るかも、という読みを導き出すのか、については、また別の記事でご紹介したいと思います。
長期投資の大前提は、未来はわからない。だから、信託報酬の安いインデックス投信に毎月同じ金額を積み立てていくのが、正解なんだ。タイミングを見計らうような投資はしない。
そういう考え方とは、かなり異なったアイデアや発想が含まれています。
どんな投資方法が正しいか、これだけが唯一の正解、というようなものはなく、自分の性格やその他いろいろな条件に合った投資スタイルを探し、見つけていくのが、よいのではないか、と思う次第です。