「根拠なき熱狂」に飛び込むか、ステイするか。

米国株式相場と、日本株式相場が、「割高シグナル」を完全に無視する形で、上がりまくる流れが発生していますね。

 

米国に関しては、マグニフィセント・セブンの一角を占める、テスラが、EV市況が思いのほか悪く、グダグダ状態になっているのに、全体としてはグイグイ上がっている。

 

当面、株価は上がり続けるだろう、と読む方にとっては、その熱狂の渦に飛び込んで一儲けしたい場面です。

 

一方、私は、「ステイ」組のほうです。


この、根拠なき熱狂が始まるより前のタイミングで、米国株も日本株も割高、と判断して売り払ったので、そこから、さらに、明らかに周囲よりも周回遅れでチキンレースに参戦するのは、分が悪すぎる、というのが理由の一つ。


もう一つは、そもそも私が、資産形成を投資信託オンリーでやっているので、チキンレースを戦うのには不利すぎる、というのがあります。
「根拠なき熱狂」をうまく利用して一儲けしたいなら、投資信託ではなく、最低でもETF、理想を言えばナマの株式の売買でやるほうが、圧倒的に有利です。

 

投資信託って、売買注文を入れてから、実際にそれが受け付けられて、さらに
約定済になるまで、けっこうタイムラグがあるでしょう?

 

基準価額が一日に一回しか算出されないし、市場の動きを見て、それで上がった/下がったを見極めてから売買できると投資信託プレイヤーにとって有利すぎるから、約定のタイミングが、特に海外相場絡みの投信の場合、さらに1~2日、遅らされる仕組みになっています。

 

このタイムラグが、引き際を見極めて、売りだと思ったら一気に売る、という性質の勝負において、あまりに致命的に不利すぎるのです。

 

また、ETFやナマの株式を売買するプレイヤーは、「指値」で売買することができます。ある金額になったら自動的に売り、とか、買い、という条件つきの売買ができる、ということです。
「成り行き」でしか売買できない投資信託組は、「指値」で売買できて、かつ今すぐ売りたい/買いたいときに、即座に売り買いできるライバルと、素手で殴り合いの闘いをすることになります。


それでも、早め早めに引き際を判断できる人たちも一定割合いて、投資信託組でも一儲けできる人も、少なからずいることでしょう。

 

これは、短期勝負で、投資というよりは投機、の性質が強く、明確にいつとはわからない株価の天井付近で売り抜けられるか、その期を逸して大損するか、というギャンブルなので、そういうのが好きだ、という方は、ぜひこの機会に大いに楽しんでください。

 

私は、短期決戦で引き際のタイミングが非常に重要、という勝負には弱いタイプだと思っているので、この勝負自体に参戦しません。


ではでは。

優良アクティブファンド紹介#004: イーストスプリング・インドネシア株式ファンド(資産成長型)

さてさて、本ブログでは、新NISA投資の基本はインデックスファンド、ということは
百も承知しつつ、でも、こんなアクティブファンドもありますよ、というのを
時折紹介していこう、と思っております。

 

その第四弾!

 

イーストスプリング・インドネシア株式ファンド(資産成長型)(愛称:+αインドネシア

です。

 

新興国に対する投資スタイルには、
(1)インデックス型(例えば eMAXIS Slim 新興国株式インデックス)
(2)労働者人口増加国特化型(例えば iTrust新興国株式)
(3)インド全張り型(イーストスプリング+αインド とか、iFreeNEXTとか、いろいろ)
(4)(2)と(3)の中間型、つまり、労働者人口増加国をベースにしつつ、インドを特に厚めに。

など、いろいろ考えられますが、この中で、(3)や(4)のスタイルをとる方に対して、より分散が効いたポートフォリオにするためのスパイス的存在として、「+αインドネシア」を加えると、もっと全体のバランスが良くなる、という考え方も、あり得るかな、と思います。

 

新興国の中で、現時点で一番伸びると考えられている国はインド、というのは、おそらく衆目の一致するところかと思いますが(2024年1~2月現在)、ではそれに続くナンバー2は、というと、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、だいたい、このあたりの国になるかな、と思います。

それらの国に特化した投資信託って、あんまり数が出ていないんですが、
「+αインドネシア」は、その中でも突出して信託報酬が良心的です。
ざっくり、1%程度でして、本来運用に人の判断が入る(つまり本質的に人件費が発生する)アクティブファンドにしては、かなりお安いほうに入ってくるかな、と思います。

 

インドネシアは、労働者人口増加国であり、かつ、資源が豊富な国(原油天然ガス、石炭、各種鉱物資源)で、内需が強くて輸出も(政府の政策次第ですが)ポテンシャルが高い、という、新興国の中でも経済的な伸びシロが大きい、と見られている国の一つです。


このファンド、優良かどうかを見るのに、ちょっとしたコツが必要でして、
実は、2023年7月31日から売られ始めたファンドなので、そこから現在に至る基準価額の変動を見ても、期間が短すぎて、いいのか悪いのか、評価しづらいんですね。

 

もしこの商品が昔からあったとしたら、3年間の騰落率を示すグラフはどんなかんじに
なるんでしょうか。

 

最近できたファンドなんだから、それはわからんだろう、と思われるかもしれませんが、
そんなアナタには、
イーストスプリング・インドネシア株式オープン
という投信商品の目論見書と、3年騰落率を見てみてください、と申し上げたい。

 

インドネシア株式オープンと、+αインドネシア、やってること、変わらないんですよね。

言うなれば、 eMAXISシリーズと eMAXIS slimシリーズの関係と同じで、
ウェブでの販売に限定する代わりに、信託報酬を下げました、ということです。
証券会社や銀行や郵便局の窓口業務を一切介さない、という形で販売経路をシンプル化して、人件費を抑えた分、信託報酬をお安くしますよ、ということです。

 

だから、概ね 1%程度、という、アクティブファンドとしては優秀な信託報酬と、
3年騰落率については「イーストスプリング・インドネシア株式オープン」を見れば判断できる、ということ、
このあたりを踏まえて、商品性を評価していただければ、いいんじゃないかな、と思います。


一応、公平を期すために付記しますが、
「iTrust新興国株式(愛称:働きざかり~労働人口増加国限定~)」
と比べると、3年騰落率は、負けています(本記事執筆時点)。

 

なので、このあたりは、考え方次第、ですね。

 

過去実績を重視するなら、iTrust新興国株式のほうがよい、となりますし、
いや、それよりも、インドネシア、という国に特化した投信商品を持って、インド特化型商品との合わせ持ちによって全体バランスを良くしたいんだ、と思うなら、+αインドネシアも、十分魅力的な選択肢かな、と思います。


例えば、ですが、「今、インドネシアの株式が割安だ」と評価する情報を入手して、かつその情報が十分信頼できる、と判断したときだけ、「+αインドネシア」をスポット購入する、というのも、買い方としては、全然アリじゃないかな、と思います。


ではでは。

コモディティ系投信商品あれこれ

投資強者は、米国株の暴落や調整局面になる可能性あり、と読んだとき、
・資産全体の中で、株式の割合を低め、債券と現金と「コモディティ」の割合を高める。
って別記事で書きましたが、

 

コモディティ」を買う、といっても、一般の小口の個人投資家が比較的買いやすい商品っていうと、やっぱり、投資信託の形で販売されているもの、だと思います。

 

金(ゴールド)特化型のコモディティ投信には、一例として
三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
があります。他にもいろいろあるので、ゴールドに興味がある方は調べてみてください(とはいっても、ゴールド価格に連動する投信って、だいたい似たような商品性になりますが)。

 

ちょっと変わり種のコモディティ投信で、原油価格連動型の、
・UBS原油先物ファンド
っていうのも、あります。資産を原油で持つって、イメージ湧きにくいかも、ですが、ゴールドだって、投資信託で持つ場合は、キラキラ輝く金塊そのものをどこかの金庫にしまって保管しているわけではないので、そういう意味では、あまり変わらないですね。

 

要は、株式とは別の形で分散効果を高める意味合いでコモディティを持つなら、それがゴールドであっても、原油であってもいいわけです。
どこかしらのタイミングで、原油が割安だ、と評価できる情報をキャッチして、その情報を信頼できる、と判断したら、
ゴールドではなく原油ファンドを買うのも、アリかもしれません。

 


コモディティ全般に手広く分散投資する投信商品としては、

 

ブルームバーグ商品指数」に連動する
・eMAXISプラス コモディティインデックス
・SMTAMコモディティ・オープン
と、

 

S&P GSCIトータルリターン指数」に連動する
・iシェアーズ コモディティインデックス・ファンド
とが、代表例として挙げられるかと思います(他にもありますが、信託報酬が1%程度のもの、でピックアップすると、このあたりかと)。

 

ブルームバーグ商品指数」の構成比率は、
エネルギー 30.4%
農産物 28.3%
貴金属 20.8%
産業金属 14.9%
畜産物 5.7%

 

S&P GSCIトータルリターン指数」の構成比率は、
エネルギー 57.1%
農産物 18.9%
産業金属 10.9%
畜産物 7.9%
貴金属 5.3%

です(本記事執筆時点で確認できる投信目論見書より)。


ブルームバーグ商品指数」は、エネルギーセクターを3割程度、貴金属を2割程度、としているので、なんとなく雰囲気として、コモディティって、金(ゴールド)とかがそれなりに入っているんでしょ、というイメージには近いかな、と思います。

 

S&P GSCIトータルリターン指数」は、エネルギーが半分以上を占めるような、ちょっと尖った特性のある構成比率になっています。

 

これも、どちらが優れている、というような話ではなく、例えばですが、コモディティ系資産をちょっと厚めに持ちたい、と思ったときに、まず第一候補として「ブルームバーグ商品指数」系の投信商品を考えてみるが、そのタイミングで原油とか天然ガスとか、エネルギー系商品の価格が割安、という情報をキャッチして、その情報を信頼できる、と判断したら、「S&P GSCIトータルリターン指数」系の投信商品を買う、というような判断をするのも、アリかな、と思います。

 

コモディティ系投信商品って、必ず買わないといけない、というものでもないですし、資産形成は株式系投信商品のみでやっています、という方も多いとは思いますが、

 

経済が安定成長している時期と、暴落や調整局面を警戒するような時期とで、適宜ポートフォリオを見直していきたい、ということを考える方なら、
現金+債券+コモディティ
っていう組み合わせが、株式の価値が落ちても他の価値が相対的に上がってくれる、という分散効果を高める意味合いを帯びてくるので、コモディティ系投信商品の存在、頭の片隅にでも入れておくと、よいのではないでしょうか。

 

ではでは。

特定口座での利益確定の小技のご紹介

新NISAの枠外(つまり、特定口座)でも投資信託商品を買っている方も少なからずいらっしゃるかと思います。

 

特定口座では、売却益が出ますと、即座に約20%、税金が徴収されますよね(厳密には、証券会社が税金を支払う手続きをまるっと代行してくれている、ということで、ラクチンでありがたい仕組みでもあるわけですが)。

この20%、というのが、何度も利益確定を積み重ねると、けっこうバカにならないロスになってしまうので、それを回避する小技のご紹介です。


まず、売るときではなく、買うときから、一工夫仕込みます。

 

ほとんど同じ値段の動きをする、2つの投信商品(以下、商品Aと商品B、とします)を、ほぼ同額、一緒に買い、積み立てていく、ということをします。

 

たとえば、

・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

・eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

とか、

 

・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

とか、

 

イーストスプリング・インド・コア株式ファンド

・iFreeNEXT インド株インデックス

とかとか、そんなかんじで。


で、ある程度積み立てていって、なんか、けっこういいかんじに含み益が出てきたから、全体の1/4 とか、半分とか、売って利益確定したい、となったら、

「商品Aはそのままにして、商品Bだけを売って利益確定させる」

ということをします。

 

まだ、この時点では、なぜこの方法がよいのか、実感がわかないかも、です。


利益確定しても、まだ残りの投信商品は、持ったままですよね。
今後の株式相場の値動き次第で、さらに積み立てて増やしたい、と思うかもしれません。

そのときに、利益確定させなかったほうの、「商品A」のほうに、追加で積み立てていくのです。

そして、それ以降、売るときは商品Bから売っていって、追加で買い増しするときは商品Aを買っていく、とやるわけです。

 

そうすると、商品Bを売って利益確定させたときに自動的に徴収された売却益の20%の税金分を、全くロスせずにすみます。


「同じ器」で、売ったり買ったりを繰り返すと、売った後(ここで税金とられる)に、買い増しすると、とられた税金分、損するんですね。それだったら、後で買い増した金額分、もともと利益確定せずに、そのまま持っていればよかった(そうしたら、税金とられずに済んだ)、ってことになるわけです。

 

これは、類似商品を2つ持って、売るときは商品Bを売り、買い増すときは商品Aを買う、とすれば、売ったときに取られた税金分を、その後積み立てたお金の運用で取り返す、なんていう無駄を回避できてしまうわけです。


なんか、すごくシンプルなことしかしていないので、騙された気分になるかもしれませんが、
「売ったときの売却益の20%を税金としてとられて、それを後で積み立てたお金の運用で取り返す」
っていうロスは、何回も積み重ねると、本当にシビアに資産の増え具合に効いてきますんで、
ぜひこの小技、活用してみてください。


ではでは。

暴落対策シリーズ#003: 2024年1月現在で見られている「暴落兆候シグナル」には、どんなものがあるか。

ここでは、暴落兆候シグナルを、(本当は結構な数あるんですが)以下の3つに絞ってご紹介します。

・逆イールド現象
・バフェット指数
・金価格の上昇

 

(1)逆イールド現象
米国債の2年モノの利回りが、10年モノの利回りを上回っている状況のことを、逆イールド、といいます。

本来、お金を貸す側の理屈でいうと、誰かに短期間お金を貸すよりも、長期間貸すほうが、貸したお金が返済されないリスクが大きいはずなんですね。だから、順当にいくと、長期の債券の金利は、短期の債券の金利よりも高くなって当然なんです。

 

それが逆転するのが、逆イールドです。

 

背景としては、物価高騰への対策として、ある国(例えば米国)の金融当局が、景気の減速という代償を払ってでも、物価高騰を抑えるべき、と判断して、金利を上げていく、ということをやります。

物価高騰がなかなか手ごわくて、何度も利上げを積み重ね、金利が高止まりした状況では、平常時とは違って、逆イールドが発生しやすい、というような、ざっくりした理解で、まずはよいかと思います。

 

そして、逆イールドが発生していた状態から、逆イールドが解消された状態に移行した後、景気後退(リセッション)が起きる可能性が非常に高い、と言われています。

深刻なリセッションには至らず、ごくごく軽い株価の低下ですめば、それを「ソフトランディング」と表現したりします。

 

でも、逆イールドが解消した後に、リセッションにならなかった事例は、近年、ないんですね。
もしソフトランディングに成功したとしたら、近年稀に見る大成功を米国の金融当局がやってのけた、ということになるんですが、果たしてそうなるや否や。

 

日本で新NISAが開始されたのは2024年1月ですが、2023年後半は、ばっちりしっかり、逆イールドが発生していまして、今なお継続中です(本記事執筆時点)。
そろそろ、逆イールドが解消、というイベントが起きてもおかしくない時期に差し掛かっている、と見ている市場プレイヤーは、多い、というのが、現在の状況です。

 


(2)バフェット指数
バフェット指数は、株価が割高なのか、割安なのかを判断する指標の一つです。

「株式の時価総額」÷「その国の名目GDP」×100

という数式で、パーセンテージで表現されます。

一般的に、株価が割高でも割安でもない、と言える水準が、概ね 80%~100%、で、2023年後半から2024年初頭あたりの米国のバフェット指数は、200%程度、のようです。

これは、相当に株価が(本来の実力値よりも)過大評価されている、ということを示唆しています。

今より半分に株価が下がったとしても、バフェット指数の観点でいうと、下げすぎではなく、適正な水準に戻っただけ、という見方があるんだ、というかんじで捉えていただければ、と思います。

 


(3)金価格の上昇
金(ゴールド)は、「安全資産」の筆頭格です。

本来、米国の経済が本当に順調で、これからもますます伸びていく、が、市場のコンセンサスだとしたら、わざわざ安全資産である金(ゴールド)を買いにいくよりも、株に投資してその値上がりを狙いますよね。

 

米国の株価は、2023年後半に、まずまず順調に上がっていきましたが、一方で、金(ゴールド)の値段も、上がっていっています。

 

我々よりももっと、景気や株価のトレンドの変化に敏感な人たちが、手持ち資産のうち、株式比率を下げて、金(ゴールド)を買いに走っている、という可能性が、一つ考えられます。

 

ゴールドの値段は、他の要因で上下することもあり得るので、この現象単体で、株の暴落や景気後退が予想できる、というものではありません。他のさまざまな兆候と合わせて総合判断するもの、という捉え方が、良いかと思います。

 


★まとめ
これらを総合的に見て、新NISAが開始された 2024年1月、というのは、米国株の暴落が、確実とは言えないまでも、市場のプレイヤーのうち一定割合が警戒するような、まさにそういうタイミングなんだ、ということを、私は言いたかったので、この記事を書きました。

 

S&P500かオルカンか、みたいな議論、ありますが、米国株が暴落したら、S&P500も、オルカンも、同じように価値が下がります(オルカンだって、過半はアメリカ株で構成されていますから)。

 

長期的に見れば、暴落時期を乗り越えてなお、倒れずに立ち続け、積み立て投資を続けて、将来株価が回復した暁にはしっかり資産形成できている、というのが、「投資初心者でも資産形成を成功させられる再現性の高い方法」として推奨されていて、そのこと自体は事実だと思っていますが、
投資初心者であるがゆえ、暴落兆候シグナルが点灯していることにも気づかないし、気にしてもいない、という人が、S&P500やオルカンを買いまくった後に、米国株が暴落する、ということも、想定される近い将来の可能性のうちの一つだ、ということを、頭の片隅にでも入れて行動していきたいものです。

暴落対策シリーズ#002: 暴落前後で、投資強者はどんなことをしているのか。

株価が暴落して、1,000万円だった資産が400万円になってしまったら、平然としていられる人と、大ショックを受ける人がいて、後者は暴落に対してどのようにしたらいいのか、という話です。

 

平然としていられる人(=精神的強者)は、「Just Keep Buying」です。暴落の後でも、それまでと全く変わらず、毎月決まった額を淡々と積み立て続ける。
この方法を貫き通せるのであれば、15年間ぐらいそれを続けられたら、長期的には株価が伸びて持ち直し、暴落の損も取り返してトータルでプラスになる、と言われています。

 

平然としていられない人(=精神的強さの面で凡人)は、いったん、残された 400万円という数字を見つめて、何か人生で大失敗をしてしまった、と思い、投信の積み立て設定を解除してしまうかもしれません。自分は投資に向いていないんだ、と思って、価値が下がった後の 400万円の資産を売ってしまい、数百万円を負け越した、という結果を確定させて、それ以降資産形成をやめてしまうかもしれません。

 

「精神的強さの面で凡人」は、暴落が起こり得る前提で、どのように資産形成と向き合っていけばよいのでしょうか。


いったん、ひたすら定額を積み立てていく系のスタイル(ドルコスト平均法で取得価格を平準化し、長期投資によって時間のもたらす複利的効果で資産を増やして勝とうとするタイプ)ではなく、
安く買って高く買う、を地で行くスタイルの個人投資家(以下、投資強者、と呼びます)は、どんなことをしているか、を考えてみましょう。

 

投資強者は、暴落局面がせまっていることを認識したら、ポートフォリオを組み替えて、「暴落待ち」でやることが何もない、という状況を作り上げます。

 

なぜ暴落という悲しい現象が起こるのを待つか、というと、資産の中で株の比率を下げて現金比率を高めた状態で暴落が来たら、そこで株を一気に買い増せば、そこから長い時間をかけて経済が落ち着きを取り戻し、再び成長してもとの株価に戻る頃には、暴落後に買った株価の価値が大幅にあがっているから、です。

 

この考え方をとる人にとっては、暴落は、悲しい出来事ではなく、株を安く大量に仕込める大バーゲンセールだ、ということです。

 

暴落待ちのポートフォリオっていうのは、例えば、米国株が暴落する、と読んだ場合を例に挙げると、
・株式の中で、米国株の比率を低め、新興国株の比率を高める。
・資産全体の中で、株式の割合を低め、債券と現金と「コモディティ」の割合を高める。
っていうようなことです。

 

コモディティの代表例が、金(ゴールド)ですが、他にも、
原油天然ガス、小麦、トウモロコシ、大豆、コーヒー、砂糖、綿、銀、アルミニウム、豚赤身肉、生牛、
などなど、これらの商品全般を、コモディティ、と言っています。

 

一般の小口の個人投資家は、これら一つ一つを然るべき市場で買ったり売ったりは、なかなかしきいが高いですが、
eMAXISプラス コモディティインデックス」
とか
三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」
とか、そういった投資信託の形で買うことが可能です。

 

債券は、いざとなったら現金に変えて、大バーゲンセール状態の株を仕込みにいくために持つわけですし、だいたい株が暴落するときには、景気の悪化(リセッション)と、その国の金利の利下げ、が、どこかしらのタイミングで来るので、利下げ=債券価格は上がる、を見込んだ短期~中期の投資を兼ねます。

 

コモディティは、概ね、米国株の価値と真逆の動きをするので、米国株が下がった暁には、コモディティの価格はあがって儲かる(であろう)、という考え方です。
そのうち、金(ゴールド)は、かなり早い段階で価格があがってしまうので(たぶん、投資強者が暴落待ちポートフォリオに組み替えている時期に、すでにあがってしまう)、それよりも動き出しが遅くなってしまう一般の小口の投資家にとっては、コモディティインデックス投信あたりが、ちょうどよいかもしれません。

 

ここで出てきた、「暴落待ちのポートフォリオ」っていう考え方の中に、おそらく、「精神的強さの面で凡人」は、暴落が起こり得る前提で、どうしたらいいのか、のヒントがふんだんに含まれているのでは、と思っています。


ここでは、「暴落がもうすぐ来るぞ」というのが、ある程度わかる前提で、その後のアクションについて書いてみましたが、どういう情報から、暴落がもうすぐ来るかも、という読みを導き出すのか、については、また別の記事でご紹介したいと思います。

 

長期投資の大前提は、未来はわからない。だから、信託報酬の安いインデックス投信に毎月同じ金額を積み立てていくのが、正解なんだ。タイミングを見計らうような投資はしない。
そういう考え方とは、かなり異なったアイデアや発想が含まれています。

 

どんな投資方法が正しいか、これだけが唯一の正解、というようなものはなく、自分の性格やその他いろいろな条件に合った投資スタイルを探し、見つけていくのが、よいのではないか、と思う次第です。

暴落対策シリーズ#001: 「はじめての暴落」への心の準備は出来ているか。

はじめてのNISA。
はじめての資産形成デビュー。
はじめてのオルカン購入とか、はじめてのS&P500購入とか。

 

銀行に預金しておくのと比べて、随分と簡単に、スススッと、増えてくれるもんだな、と思ったり。

 

そんな初めての経験をした人、この半月ぐらいの間に、すごく増えたんじゃないでしょうか。

 

そんなあなたに、ごくごく簡単な思考実験を一つ。

 

自分が、今のペースで、2年ぐらい投信の積み立てを続けた、として、
たとえば、コツコツと、720万円ぐらい投資したとして、
ちょっといいかんじに増えてくれて、1,000万円ぐらいになってくれたとして、

 

さて、ここで、自分の仕事がいきなり超忙しくなって、二週間ぐらい、全然自分の証券口座をチェックできなくて、さて久しぶりに証券会社の口座にログインしてみたら、

 

あれ? 確かこの前、1,000万円ぐらいあったはずなのに、400万円になってる!??

 

こういうことがもし起きたとして、平常心を保てるでしょうか。

頭、真っ白になっちゃったり、しないでしょうか。

 

新NISAって、投資初心者でも、毎月オルカンを定額購入する設定を入れておけば、誰でも資産形成が簡単にできる、って、聞いてたのに、

 

なんじゃこりゃぁぁぁああああああ!
騙されたぁぁぁぁあああああ!

 

って、思ってしまう可能性、ないでしょうか。

 

確か、よく見てる投資系Youtuberは、たとえ暴落があっても、一切動じずに、毎月淡々と同じ金額を積み立てていけばよい、それが長期投資のやり方だ、って言っていたから、
自分だって、1,000万円あると思っていた資産が400万円に減っていたって、全然痛くも痒くもないです。想定範囲内のことが起きただけです。
自分は平気です。悔しくなんか、ないです。もう資産形成やめたい、なんて欠片も思ったりしないです。

 

と、思えるかどうか。

 

これって、そう思う人は間違っている、とか、正しい、とか、そういう問題ではなくて、人間には持って生まれた性格ってのがあって、なにかちょっと冒険的な行動にふと出られる人、石橋を叩いて渡る人、石橋を叩いても渡らない人、いろいろいるじゃないですか。

それと同じで、暴落に出くわしたときに、平然としていられるか、大ショックを受けるか、自分は、どっちのタイプなんだろう、って、軽く考えておいたほうが、いいです(資産形成をするプレイヤーの世界に飛び込んだアナタなら)。

 

で、もし、自分は、大ショックを受けてしまう方のタイプだ、と思った方は、資産形成をやるべきではないのか。

 

そんなことは、ないと思います。

 

なんか、そういうタイプの方にあったやり方っていうのが、なんらか存在して、暴落局面に対する準備だったり、状況変化に対する対応だったり、なんかできるんじゃないか。

 

この方策をね、探っていきたい、と思います。

 

今回は、とりあえず、ここまで。

このテーマ、非常に重要なんで、継続的にいろいろ書いていきたいと思っています。